建築を学んだ人であれば、一度は名前を聞いたことがある建築家がいます。
それが磯崎新です。
2022年に逝去されましたが、日本を代表する建築家として世界中に数多くの作品を残しました。
私自身も建築学生時代から磯崎新の建築に興味を持ち、一級建築士となった現在も各地の作品を見学しています。
特に磯崎新の出身地である大分県には代表作が数多く残されており、建築好きであれば一度は訪れてほしい場所です。
今回紹介する『磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ』は、東京都庁舎の設計コンペを題材にした建築本です。

完成した建築を紹介する作品集ではなく、
磯崎新と丹下健三という日本建築界の巨匠が都庁コンペで激突した舞台裏
を描いたノンフィクション作品となっています。
建築本でありながら、小説のような面白さを持つ一冊でした。
磯崎新とはどんな建築家か
磯崎新は大分県出身の建築家であり、日本を代表する世界的建築家の一人です。
代表作としては、
- 大分県立図書館(現アートプラザ)
- 北九州市立美術館
- 水戸芸術館
- パラウ・サン・ジョルディ(バルセロナ)
- カタール国立コンベンションセンター
などがあります。
また2019年には建築界のノーベル賞とも呼ばれるプリツカー賞を受賞しています。
磯崎新の建築の魅力は、単なるデザインの美しさではありません。
常に時代や都市との関係を考えながら、新しい建築のあり方を提案してきた点にあります。
私自身も多くの建築を見学しました。モンローチェアでも有名です。





建築本『磯崎新の「都庁」』の概要
本書の舞台は、東京都庁舎の設計コンペです。
現在の東京都庁舎は新宿のランドマークとして知られていますが、その設計者が丹下健三であることは有名です。
しかし、その裏では磯崎新をはじめとする日本を代表する建築家たちが激しいコンペを繰り広げていました。
本書では、
- コンペの舞台裏
- 建築家たちの戦略
- 設計思想の違い
- 審査の過程
などが詳細に描かれています。
建築本でありながら、勝負の行方が気になってページをめくる手が止まらなくなります。
磯崎新と丹下健三の都庁コンペ
本書最大の見どころは、
磯崎新と丹下健三の設計バトル
です。
丹下健三は戦後日本建築を代表する巨匠であり、東京オリンピックの代々木競技場など数々の名建築を設計しました。
一方の磯崎新は、丹下研究室出身でありながら独自の建築思想を持つ建築家です。
師弟とも言える二人が、東京都庁という巨大プロジェクトを巡って競い合う構図は非常に興味深いものでした。
しかも提案された建築案は驚くほど対照的です。
同じ課題に対しても、建築家によってここまで異なる解答になるのかと驚かされます。
建築本として面白い理由
建築本というと、
図面が多い
専門用語が多い
難しい
というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし本書は違います。
コンペという勝負の世界が描かれているため、
まるでスポーツの決勝戦や経済小説を読んでいるような感覚になります。
建築家たちのプライド。
設計思想。
勝負への執念。
そうした要素が非常にスリリングに描かれています。
建築を学んでいない方でも十分楽しめる建築本だと思います。
実際に読んだ感想
私自身、建築学生時代から磯崎新の作品を見て回ることが好きでした。
旅行に行く際も、その地域に有名建築があれば必ず立ち寄ります。
磯崎新作品も数多く見学してきましたが、特に大分県の建築群は圧巻です。
建築学生であれば、一度は訪れてほしい場所だと思います。
本書を読んで感じたのは、
完成した建築を見るだけでは分からない面白さがある
ということです。
私たちは普段、完成した東京都庁舎を見ています。
しかし、その裏には建築家たちの葛藤や挑戦がありました。
磯崎新がどのような未来の東京を描いていたのか。
丹下健三はなぜその案を提案したのか。
その背景を知ることで建築を見る視点が大きく変わります。
また、一級建築士として仕事をしている立場から見ると、
コンペというものがどれほど大変であり、同時に魅力的なものかも改めて感じました。
建築は単なるデザインではなく、
思想であり、
都市への提案であり、
未来へのメッセージでもある。
そのことを再認識させてくれる一冊でした。
建築好きにおすすめしたい一冊
本書は次のような方におすすめです。
- 磯崎新が好きな人
- 建築本を探している人
- 建築学生
- 一級建築士・二級建築士
- 建築コンペに興味がある人
- 丹下健三が好きな人
- 東京都庁に興味がある人
まとめ
『磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ』は、磯崎新と丹下健三という日本建築界の巨匠による設計バトルを描いた名著です。
建築本でありながら小説のような面白さがあり、建築家たちの思想や情熱を感じることができます。
私自身、磯崎新の建築を実際に見てきたからこそ、本書をより深く楽しむことができました。
磯崎新を知りたい方、面白い建築本を探している方にはぜひおすすめしたい一冊です。



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