はじめに
論理的思考力を鍛える本として有名な『具体⇔抽象トレーニング』を読みました。
私は一級建築士と中小企業診断士を取得していますが、本書を読んで感じたのは、
建築設計も経営コンサルティングも、本質的には「具体と抽象を行き来する作業」である
ということです。
本記事では、本書の概要と感想、そして建築や中小企業診断士の学習との共通点について紹介します。
本の概要
『具体⇔抽象トレーニング』は、細谷功氏による思考法の入門書です。

人は日常的に、
- 具体的な事象を見る
- 共通点を見つける
- 抽象化する
- 再び具体的な行動へ落とし込む
という思考を繰り返しています。
しかし、多くの場合は無意識に行っているため、自分がどの段階で考えているのか理解できていません。
本書では、
- 抽象化とは何か
- 具体化とは何か
- なぜ思考が噛み合わないのか
- 問題解決にどう活用するのか
を豊富な事例を使って分かりやすく解説しています。
読書が苦手な方でも比較的読みやすい一冊です。
総合評価
★★★★★(5/5)
個人的には非常におすすめです。
特に、
- 建築
- 経営
- コンサルティング
- マーケティング
などに関わる人には大きな気付きがあります。
資格試験の勉強というよりも、
考える力そのものを鍛える本
だと感じました。
個人的な感想|建築設計と非常によく似ている
本書を読んで最も印象に残ったのは、
建築設計のプロセスと非常によく似ている
ということでした。
例えば設計課題では、
まず
- どのような建築を目指すのか
- どのような体験を提供したいのか
- どのような価値を実現したいのか
という抽象的な目標を考えます。
その後、
- 平面計画
- 構造計画
- 動線計画
- ファサード
など具体的な設計へ落とし込んでいきます。
しかし一度決めた案をそのまま進めることはほとんどありません。
設計を進めながら、
「本当にこのコンセプトで良いのか」
「もっと良い方法はないか」
と再び抽象レベルへ戻ります。
そして再度具体化します。
この
抽象化→具体化→抽象化→具体化
の繰り返しこそが設計プロセスそのものです。
菊竹清訓の「か・かた・かたち」とも共通する
本書を読んでいて思い出したのが、
建築家の 菊竹清訓 が提唱した
「か・かた・かたち」
という設計方法論です。
- か(価値・理念)
- かた(仕組み・システム)
- かたち(形態)
という考え方ですが、
これはまさに具体と抽象を行き来する思考そのものだと思います。
まず理念や目的を考える。
その後、実現するための仕組みを考える。
最後に建築という形へ落とし込む。
この流れは『具体⇔抽象トレーニング』で説明されている考え方と非常に近いと感じました。
中小企業診断士の学習とも共通する
中小企業診断士の二次試験でも同様です。
例えば、
「売上が低迷している」
という具体的な現象があった場合、
なぜそうなっているのかを分析し、
- 顧客ニーズ
- 組織課題
- 経営資源
といった抽象的なレベルまで掘り下げます。
そして最終的には、
- 新商品開発
- 販路拡大
- 人材育成
など具体的な施策へ落とし込みます。
つまり中小企業診断士の事例分析も、
具体と抽象を往復する作業だと言えます。
その意味で、本書は中小企業診断士の学習にも役立つ内容でした。
こんな人におすすめ
本書を特におすすめしたいのは、
建築学生
設計実習で悩んでいる学生には非常におすすめです。
設計案がまとまらない原因の多くは、
- コンセプトが曖昧
- 抽象と具体がつながっていない
ことにあります。
本書を読むことで、
設計プロセスをより整理して考えられるようになると思います。
中小企業診断士受験生
二次試験の事例分析に取り組んでいる方にもおすすめです。
課題の本質を考え、解決策へ落とし込むプロセスを理解しやすくなります。
コンサルタントや企画職
課題解決や提案業務を行う方にも非常に役立ちます。
論理的思考力を鍛えたい方には最適な一冊です。
まとめ
『具体⇔抽象トレーニング』は、単なる思考法の本ではありません。
建築設計、経営コンサルティング、企画業務など、
幅広い分野に共通する「考え方の基礎」を学べる本です。
私自身、一級建築士としての設計経験や、中小企業診断士としての事例分析と重なる部分が非常に多いと感じました。
特に建築学生や中小企業診断士受験生には、一度読んでみる価値がある一冊だと思います。


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