はじめに
山崎豊子作品の中でも特に有名な作品が『白い巨塔』です。
医療小説というイメージが強く、
「医療関係者向けの本では?」
と思う方もいるかもしれません。
しかし実際に読んでみると、
これは医療小説ではなく、人間と組織、そして倫理観を描いた作品
だと感じました。
私は医師ではありません。
製造業で働き、中小企業診断士としても活動しています。
それでも、この作品から得られた学びは非常に大きく、
「自分の仕事とは何か」
を改めて考えさせられる一冊でした。
本の概要
『白い巨塔』は山崎豊子氏による長編小説です。
大学病院を舞台に、
- 医局制度
- 教授選挙
- 医療事故
- 法廷闘争
などが描かれています。
主人公は二人の医師です。
一人は、
高い技術力と強い野心を持つ財前五郎。
もう一人は、
患者に寄り添うことを重視する里見脩二。
全く異なる価値観を持つ二人を中心に物語が展開していきます。
山崎豊子という作家の凄さ
山崎豊子作品を読むたびに感じるのは、
取材力の圧倒的な凄さです。
『不毛地帯』
『華麗なる一族』
『沈まぬ太陽』
そして『白い巨塔』。
どの作品も、
まるでノンフィクションを読んでいるような感覚になります。
特に『白い巨塔』は、
医療の専門知識がない私でも現場の緊張感が伝わってくるほどのリアリティがありました。
リアルすぎる医療事故と法廷闘争
本作品で最も印象に残ったのは、
医療事故を巡る法廷闘争です。
読んでいて、
思わず目を背けたくなる場面もありました。
患者が亡くなった後、
残された家族が何を感じるのか。
なぜ真実を知りたいのか。
遺族の苦しみや怒りが非常にリアルに描かれています。
私は読みながら、
遺族側の気持ちに強く感情移入していました。
もし自分の家族だったら。
そう考えると非常に苦しい気持ちになります。
一方で医師側の苦悩も感じた
しかし、この作品が優れているのは、
単純な善悪で描いていないことです。
読んでいると、
医師側の苦悩も見えてきます。
現代の医療技術であれば判断できることも、
当時は難しかったケースがあります。
また、
医師も神様ではありません。
限られた情報の中で最善と思われる判断を行っています。
そのため、
「どちらが絶対に正しい」
と簡単には言えませんでした。
だからこそ考えさせられます。
もし自分がその立場だったらどう判断するのか。
非常に重いテーマでした。
財前と里見、対照的な二人の医師
『白い巨塔』の魅力は、
財前五郎と里見脩二という対照的な二人の存在です。
財前は、
- 出世
- 権力
- 技術
を重視します。
一方で里見は、
- 倫理
- 患者
- 良心
を重視します。
どちらか一方が完全に正しいわけではありません。
財前のような強いリーダーシップがなければ医療は発展しません。
しかし里見のような倫理観がなければ医療は成り立ちません。
この対立構造が非常に見事でした。
私自身の仕事とは何かを考えさせられた
私は医師ではありません。
しかし、
読んでいて何度も考えたのは、
「自分の仕事はどうあるべきか」
ということでした。
会社員として働いていると、
- 昇進
- 評価
- 成果
を求められます。
一方で、
- 顧客への責任
- 社会への責任
- 倫理観
も重要です。
これは医療業界だけの話ではありません。
どの業界でも同じです。
財前と里見の姿を見ながら、
自分自身は何を大切にして働くべきなのかを改めて考えさせられました。
中小企業診断士として感じたこと
中小企業診断士として企業支援を行う場合も同じです。
企業の利益向上は重要です。
しかし、
利益だけを追求して良いわけではありません。
顧客や従業員、地域社会への影響も考える必要があります。
『白い巨塔』は、
職業人としての倫理観を考える上で非常に学びの多い作品でした。
こんな人におすすめ
20代・30代の会社員
仕事に対する価値観を考えるきっかけになります。
管理職を目指している人
組織とリーダーシップについて学べます。
中小企業診断士・コンサルタント
職業倫理や社会的責任について考えさせられます。
医療関係者以外の方
医療知識がなくても十分楽しめる作品です。
まとめ
『白い巨塔』は医療小説ではありません。
組織、権力、倫理、人間関係。
そして、
仕事とは何か
を問いかける作品です。
私は読み終えた後、
財前が正しいのか。
里見が正しいのか。
答えは出ませんでした。
しかし、
自分自身はどのような価値観を持って働きたいのか。
それを真剣に考えるきっかけになりました。
社会人であれば一度は読んでほしい名作です。


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